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認知症

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認知症外来

脳は人間の活動をコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。
以前は、このような状態を「痴呆」と言われていましたが、倫理・道徳的に問題点があるということで厚生労働省で検討会が行われた結果、平成16年12月から正式に「認知症」という病名にきまりました。

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認知症高齢者の数はますます増加

65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されています。65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”となる計算です。

認知症高齢者の数はますます増加

出所:厚生労働省
さらに、2015年1月厚生労働省により、2025年の認知症患者は、現状の約1.5倍となる700万人を超えるとの推計が発表されました。これにMCI患者数を加えると、約1,300万人となり、65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍といえることになりそうです。

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主な認知症の種類

このうち約60%はアルツハイマー型認知症が原因で、約20%は脳血管型認知症によるものとされています。一般的に認知症=アルツハイマーと認識をされる方が多いです。
しかし各々の症状や適切なケアに違いがあります。
認知症の種類をしっかりと把握して、適切な対応を行いましょう。

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認知症の症状

中核症状とは

中核症状は、脳の神経細胞の破壊によって起こる症状です。代表的な症状は記憶障害で、記憶ができないために、直前に起きたことでも思い出せなくなります。脳が正常だった頃に記憶した過去の記憶は残っていますが、症状の進行とともに、それらも失われていきます。
その他にも筋道を立てた思考ができなくなる判断力の低下や、時間や場所など、自分が置かれている状況を正しく認識できなくなる見当識障害などがあります。

行動・心理症状(BPSD)Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaとは

行動・心理症状は、中核症状に本人の性格や環境の変化などが加わって起こる症状で、妄想を抱く、幻覚を見る、暴力をふるう、徘徊をするといった症状を指します。また同時に、うつや不安感、無気力といった感情障害が起こるケースもあります。
周辺症状はその人の性格や環境、人間関係などが絡み合って起きるものです。そのため、症状は人それぞれ異なり、また接する人や日時によっても大きく変わってきます。
※以前は中核症状に対して周辺症状と呼ばれていましたが、最近では行動・心理症状(BPSD)という名称が一般的になりつつあります。

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認知症の診察・診断

以下のような、検査等で総合的に診断を行います。

  • 患者さんとそのご家族を含めての問診
    ご家族の方が同伴して下さるのが、我々にとっては非常にありがたい。
    ご家族の方は、患者さんがいつからどのような症状が出始めたかを、私に教えて下さい。
  • 知能検査
    簡便で最も用いるられるのは「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」です。
  • 血液検査
  • 画像検査
    脳CTはしましょう。脳血管障害や脳の萎縮など認知症の種類や進行状況を詳しく検査します。
    認知の症状を出すけれども簡単な手術によって治る「慢性硬膜下血腫」という可能性もあります。
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認知症の分類

認知症にはいくつかの種類がありますが、主なものとして、以下の4つが挙げられます。

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 脳血管型認知症
  3. レビー小体型認知症
  4. 前頭側頭型認知症

まず全体の8割以上を占めると言われている1と2を考えてみましょう。

1 アルツハイマー型認知症

アルツハイマー病は、1907年にドイツのアロイス・アルツハイマー博士によって報告され、その名がつきました。単なる老化でもみられますが、「βアミロイド」という異常なたんぱく質が脳に沈着し、正常な脳神経細胞を死滅させていくことが原因とも考えられています。

症状

アルツハイマー病の病気の進行は3段階に分かれます。

  • 第1期
    • 物事を忘れる・・・健忘症状
    • 読み、書きが困難になる
    • 今いる場所、時間、自分の住所がわからない・・・失見当識
  • 第2期
    • 道に迷う・・・空間的見当識障害
    • 徘徊をする
    • 言葉のやりとりがうまくできず、用件を他人にうまく伝えられない・・・失語
    • 着替えがうまくできない、いろいろな図形が書けない・・・失行
  • 第3期
    • 小刻み歩行、前傾姿勢・・・運動障害
    • 最終的には、身動き 一つしない、言葉も発しない 寝たきりの状態になる。
早期発見と治療

アルツハイマー型認知症の根本的な治療法はまだありませんが、薬物治療では、記憶や認知機能に関係する物質を補うことで症状の改善や進行が抑制されたり、また原因物質と考えられているβアミロイドを溜めないようにする治療も開発つつあります。

2 脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が起きて、後遺症として認知症になるものです。突然の脳血管障害で急激に認知症を発症したり、小さな症状のない脳梗塞を繰り返して徐々に認知症が現れる場合があります。

特徴・症状

脳血管性認知症は、脳血管障害の発作によって突然症状が現れたり、徐々に悪化したりします。障害の部位でも症状が異なるので、理解力や判断力は保たれて人格はしっかりしているように見えても、記憶力が低下してるといったようないわゆる「まだらぼけ」もみられます。また、発症の原因である脳血管障害を引き起こす、高血圧・高脂血症、糖尿病や心臓病などの生活習慣病を患っていることも大きな特徴です。
言い換えれば生活習慣病の最終型と私は考えます。脳はその人そのものですものね。
ですから、これらの生活習慣病を予防・治療することが、認知症の予防にもつながります。
主な症状は、前記したアルツハイマー型認知症と大きな違いはありませんが、病気の進行や症状の出方は異なります。

アルツハイマー型認知症との違い
 
アルツハイマー型
脳血管性
年齢 75歳以上に多い 60歳代から
性別 男:女=1:3 男性に多い
経過 進行性 脳血管障害の発作に伴って段階的に進む
病識 ほとんどない 進行するとなくなる
他の自覚症状 少ない 頭痛、しびれ、めまい
持病との関係 関係は少ない 生活習慣病を持っていることが多い
特徴的な傾向 落ち着きがない 精神不安定になることが多い
人格 人格崩壊 ある程度保たれる
認知症の性質 全体的な能力低下 まだらぼけ
治療

脳血管性認知症そのものに対する確実な治療法はまだないため、それを引き起こす脳血管障害の治療・再発予防が認知症の治療に結びつきます。現在は、脳血流改善薬や脳血管拡張薬、脳代謝賦活薬などが有用とされています。また、脳血管障害の原因である高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を予防するとともに、バランスの取れた食生活や適度な運動、肥満予防、喫煙や飲酒の抑制、精神的ストレスの緩和などが大切です。
クリニックのモットーにあるように「病」だけを診ることではなく「人」を診る事が我々に求められます。

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